「薫風」を探せ!
風薫る5月、とにかく爽やかだ。薫風とは、南風、温和な風を言うらしい。
中央高速道路を長野に向けて走っていると、右に競馬場、左にビール工場、どなたかの歌のようにこの道はまるで滑走路。だが、この季節はそれよりも青葉若葉の香りを吹き送る初夏の風、車窓から颯爽と「いらーーっしゃい、今日はお一人? あら奥様とご一緒! ではごゆっくり!」と、薫風が頬や首筋を心地よく通り過ぎるはず。……が。
GW(ゴールデンウイーク)に八ヶ岳南麓「ひらめ山荘」に向かった。
50年ほど自由業をやっている関係で、人様がお休みしている時は働き、人様が働いている時に、たまに休みを取るというのが我々の休み方だった。ところが年を重ねるにつれ休み方が変わって来た。これも地球温暖化のせいか、それとも観光立国になりたいなりたい、と言っていたのにもかかわらず、外国人が集まり過ぎてしまって、どこの観光地もアジア系外国人の対応にオタオタしているせいなのだろうか? 真意はわからないがとにかくGWに休みが取れた。
曇天を眺めつつ、中央高速「長坂インターチェンジ」で下りる。高速の「走り」は快調だった。ミニクーパー・スーパーチャージャーは機嫌よくエンジンを回してくれた。もう70,000km以上も走っているのに心強いやつだ。ふふっ。
ここ長坂の標高は約800m、「ひらめ山荘」は1,150m。ここから350m上がる計算になる。ちなみに東京タワーは333m。エッフェル塔より13m高い(※1)。つまりここから東京タワーほど登る。
畑の真ん中を走る道がある、ここでいつも窓を開ける、「薫風」が入って来る…はず。うん?
涼しい? 温度計を見る。16度、ま、ま、こんなもんかな。どんどん登る、再び窓を開ける。
うん?うーん?寒い? 14度?…??……?……? 「薫風」は、どおーーーーーーしたっ「薫風」は!者共ーーー!「薫風」を探せえーーーーーーーーーーーーーっ!はっはあーーーーっ!
どんどんどんどん林道を登る、この辺りの幹線道路を横切る、横切りたい、横切れない。車がまるで金魚の糞のようにヘロヘロ続く。こ、こ、は、世田谷どーーーりかーーーっ!
やっと、「ひらめ山荘」に到着。10度!寒い。油を買いに近くのGSに。グループサウンズじゃあない!!! 失礼! 寒くて、ついイライラしてしまった(67歳GG)。GSまで車で3分、全て下り、おっとGSが大変な事になってる。車が数珠つながり、隣の偽コンビニまで続いている。
ありえない。いつもは親父が一人でやっている店なのだが、明らかにバイト的女子が約3人ほどウサウサ働きまわっていた。狭い店なので誰がお客さんでどれがバイトなのかよくわからない。これがGSなのか? 違うGWなのか。GWはもういいから、GGWを早く作って欲しい、
ゴールデン・ジェネレーション・ウイーク!ってね!
話は飛んで長崎へ!
長崎県大村市で市民ミュージカルを創作中。市民による市民のためのミュージカル。昨年8月に市民をオーディション。約50名が合格、10月からリハーサル、我々の稽古は月に1回通って今月で8ヶ月目になる。下は小学2年生から上は74歳までの老若男女。大きく分けると、子供、中高生、おばさん、おじさん少し。タイトルは「時間よ、止まれ!」。家内が脚本、俺は演出と振り付け。
子供は観察していると楽しい。当たり前の事だが、既成の役者にはない立ち居振る舞いをする。だから面白い、だから読めない、読まない、読みたくない。当然舞台上のルールは全く知らない、ルールをないがしろにされると気持ち悪いが、そこに人が生き生きしているとまんざらでもない。ルールとは規則、エンターテインメントの世界で規則を守ること程つまらないものはない。そこで演出家は憤悶を増す。「じゃあ、好きなように動け!」。ワアーーー!と子供は動く。「楽しいか?」「たーのしーーい!」、こっちはそれほど楽しくない。野放しにすると、ミュージカルがめちゃくちゃになってしまう。そこで羊飼いのように適当にムチを打つ。子供たちの動きが止まる。すると羊のようにみんな同じ顔に見えてしまう。これはつまらない! そこで真剣に子供を叱る。「お前たちは、舞台に立つ覚悟を持ってなーーーい!」「お客様はお金を払って見に来るんだぞーーー!」。子供たちはキョトンとしてる。きっとこんなふうに叱られた事ないんだろう。でも子供なりに理解する、その顔が憎たらしいほど可愛い。
舞台芸術は観客が予定調和を見に来るのではない、生身の人間が歌って踊ってお芝居をする。何が起こるかわからない。そこがLIVEの魅力だ。
市民ミュージカルは、出演者は素人でも作り手は全員プロ、プロの手腕が問われる。これが俺の琴線を震わす。東京ではもろもろあって琴線が緩みがちだ。
ところで俺は観客としても優秀である、4月には7本観劇した。が「薫風」が吹くどころか「薫製」の香りがした作品が多かった。たまには「薫風」を身体いっぱい浴びて劇場を出たいものだ。俺が創るしかないか!ふうううーーーっ! また再来ゲッチューー!
※現在エッフェル塔は約324mとなり、東京タワーは約9m高くなる。

