2017年 ACT.7

「GIVE UP!の行方」

今年の8月末、八ヶ岳の山小屋でのお話。
俺は朝採りトウモロコシを買うべく、標高1150メートルの山小屋から標高約850メートルの
朝採り屋台まで、高低差約300メートルを電動アシスト折りたたみ自転車で降りた。その下り坂道たるや尋常ではない、一度もペダルを漕ぐことなく一気に山道を転がり落ちた。山小屋から10分も経たないうちにいつもの朝採りトウモロコシ売り場、といっても簡単な屋台のようなものだが、兎に角着いた。着いたはいいが朝採りトウモロコシがない。きゅうり、トマト、
玉ねぎはある、どこだ?朝採りトウモロコシは。者共、探せーー、朝採りを探せーー。
はは~~~っ!どこだ!そこか?あっちだ!どっちだ?どこを探してもない。落ち着け、落ち着け、小さな深呼吸、こんな時は周りを見渡し客観的に自分を見る。俯瞰で我が身を見るドローン作戦。なんと、約30メートル先にもう一軒屋台が見える、あそこだっ、いけーーーーーっ! 朝採りの生け捕りダアーー!300メートル約7秒フラット!キュウーーッブレーキキッ!なんと、なんと屋台の中は朝採りだらけ、むむっ、これは…まるで麻雀パイのソーズ(索子)の
9ソーのように並びまくった朝採りトウモロコシ。「どうしたの、時間かかったわね」的な寝姿。うーんキューリ!違うっ、キュート!待てっ、そこに1本120円と書かれた文字、うん?心臓内のステントが2本疼く、へっ……。去年までは、1本100円だったのに…。慌ててポケットを探る、百円玉が3個、えっ、妙な動悸、心拍数95。よく見るとここは無人屋台なので、お釣りを返してくれる人はいない…しまった!困った!ちょっと待った。誰も見ていない、脳裏をよぎる300円入れて3本持って行く…か?60円泣いて2本持って帰るか…、俺は66歳……常識人?…結果…泣いた。

帰り道。なだらかな上り坂が続くが意外ときつい、チャリの前のカゴには朝採りが2本「リャン(2)ソー」の横倒し状態で仲良く鎮座。ペダルが重い、何故?電動アシストなのに…。と、
急にペダルが軽くなった、何だこれは凄く軽い軽快通快、うん?進んでない……はっ…
チェーンが外れた…。

この後の顛末は書けない。あまりにも悲惨惨酷無慈悲な姿、片道10分往復100分。そう往路は90分かかった。この事件?で悟った。勝手に電動を過信してはならぬ。快感の後には地獄が待ってる。しかし、収穫もあった。何回「give up」をしようと思ったことか、俺はどこまで頑張れるのか?俺の極限とは?死にものぐるいとは? giveの行方は?腰部脊柱管狭窄症、右耳難聴、
I have 2stents in my heart.、透析歴20年、66歳、giveはいつでも出来た。きっと誰も文句は言わぬ。しかしgiveはしなかった。自分で自分を褒めてあげたい。

こんなこともあった。俺がへロヘロで道端に踏まれたバッタのように座り込んでいたら、犬を連れた女性が「どうしたんですか?」。俺(声が掠れてる)「ひょっと、ふかれひゃって」。女性「頑張ってくださいね」。俺の心の叫び「頑張ってる奴に、頑張ってって言うなっ!」。お前は、お前は俺の何を知ってるんだーーっ!

人は自分のことはよく解らなくて、他人の事はよく解ると言うが、いーーーや、そんな事はない、他人の事はよく分からない。だから適当な言葉はかけないようにしている。「頑張って」は悪いわけではない。が、頑張っている人は見ればわかるだろう。疲れている人に「ゆっくり休んで」。これも気をつけたほうが良い、人には百万の「事情」がある。気をつけよう。

俺は自分の事もよく分からない。お調子者でセッカチ以外は。しかし今回の事件?で相当な頑張り屋である事はわかった。

柿が美味しい今日この頃、電動アチャリは東京で活躍している。雨降り以外は毎朝。といっても朝のルーティーンがあって、起きてすぐ電チャリ散歩には行けない。まず家から5メートルほどの自動販売機であったか缶コーヒーを買い、新聞を取りバナナ半分とビスケッ卜2枚を食べながら隅から隅まで新聞を眺める。ちゃんと読むのは気になった見出しだけ、この間約40分。その後、半地下の駐車場からおもむろに「奴」を引っ張り出し、家から約15分程の駒沢公園に向かう。その間、電動アチャリの割には、いろいろな人によく抜かれる。前後ろ子供のっけおばさん、通勤お姉さん、通学小僧、公園近くになると俄然学生が増えどんどん抜かれる。
「じじい、おっせーんだよ」的横顔、くっ…SOー。が、そこで必死にならない、なぜならこの年代になると1日に使えるエネルギーは決まってくる、今頑張ってしまうと、午後からの仕事に差し支える。ここは我慢して気持ちよく抜かれる。これがまた気持ちが良い、抜かれることの気持ちよさは、抜くことの気持ちよさを凌駕する。焦りは人を変え一歩間違えれば命にかかわる。

抜かれることの気持ちよさ。わかるかな?わかんねーだろーなー!

皆さま良いお年を! また来年!

頑張り屋 中村龍史

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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