2019年 ACT.17

「オチ」

7月だというのに寒っ!!なんだこの寒さはっ! ステージナビ読者の諸君、体調崩してないか? 自律神経大丈夫か? 前立腺大丈夫か? とまあ、俺くらいの年齢の人間が集まると、必ず病気や薬の話になる。にしても今年の天候不順にはついていけない。だがこの天候不順に対して負けてはならぬ、決して屈してはならん。知恵を絞って乗り切ろうではないか。雨にも負けず、風邪にも負けず、天候不順にも負けない人間でありたいっ。人間力、人間力、人間力、よしっ!

先日、「コーラスライン」ならぬ「コーラス9(ナイン)」というミュージカル、というより軽演劇ミュージカル風を創った。脚本はうちの家内が、一人一人に当て書きをしてくれた。演出と振り付けは俺。出演者は日本のトップアーティストのバックコーラスを生業(なりわい)としてきた猛者たち。芝居をするのも初めてならば、毎日、演出家と面と向かって仕事をするのも初めて。常に自分達の事は自分達で決めてきた熟女たちである。

ちょっと演劇では考えられない、稽古模様の数々。例えば、演出家の眼の前で、
 C1 ねえねえ、ここどうする?
 C2 これでいいんじゃない。
 C3 ダメよ、あそこがこうなんだから、こうしないと。
 C4 でもさ、こっちの方がかっこいいよ。
 C5 昨日の振り付けは確かこうだった。
 C6 そうそう、でもこっちの方がやりやすいよ。
 C7 そうだねそうしよう。そうしよう。
(たまりかねた演出家が)
 演出家 おいっ、それは君たちが決めることではないっ!
 C達 はーい。でも中村先生が黙っていたんで、自分達で考えていいのかなーって。
 演出家 俺が黙っている時は何かを必死に考えている時。わかった!
 C達 へーい、わかりやした。
全てに対してこんなやりとりであった。

彼女達の強みはコーラス、いわゆるハモること。これをミュージカルに活かすにはどうしたら良いのか。いろいろと試してみた。
全員でため息をつくシーン。ちょっとそのため息ハモッてみて、俺が言うと……見事にため息がハモる。ため息がハモる? 聞いたことない。でもすぐハモる。この才能すごい。

これこそミュージカルだ。多分世界中でもため息コーラスはやっていない。

オリジナルミュージカルはこういうところから始めなければいけない。本の骨格と、演出家のアイデアと、演者の技術才能でオリジナルミュージカル「コーラス9」は生まれた。

今回もいろいろな方が観に来てくださった。その中でも嬉しかったのは澤田隆治さん(推定年齢八十代後半)が足を運んでくださったこと。澤田さんといえば関西では泣く子も笑う、喜劇界の重鎮。

我々の世代では子供のころ、澤田隆治プロデュース「てなもんや三度笠」「スチャラカ社員」などのテレビ番組でずいぶん笑わせてもらった。俺が小学校高学年から中学にかけて、海外のギャグドラマ(?)がずいぶん入ってきていた。「ちびっこギャング」「アイ・ラブ・ルーシー」「じゃじゃ馬億万長者」など、その中でも澤田さんの創るコメディーは秀逸だった。

話はちょっと戻るが、その澤田さんが3月のクールジャパン大阪パークTTホールのこけら落とし公演「energy」を東京からわざわざ観に来てくれた。前年一度お会いしただけなのに有難い。

開演前に挨拶できなかったので、幕間に挨拶に行った。すると澤田さんがひと言、「2、3オチがなかったな」。「あ、はい」と俺。「大阪人はオチが大好きやから、オチをつけんといかん」。

大先輩からの助言は、嬉しい。

その澤田さんが「コーラス9」も観に来てくださった。終演後挨拶に行くと、ニコニコ笑いながら「おもろかったわ」とおっしゃってくれた。それもそのはず「コーラス9」は誰もがわかる大きなオチをきっちりとつけたから。

それは何かというと、言えない言えない言っちゃあおしまいだよ。でもオチがわかった上で、もう一回観るのもオチ(ツ)なもんかも。
                                    中村龍史

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