「おばさま達と『電動アチャリ』」
新緑が眩しい「5月」、銀杏の小さな葉っぱが可愛い「5月」、神輿が街を練り歩く「5月」、4月と6月の間の「5月」、今年も5ヵ月経った「5月」、ツツジが美しい「5月」、しつこいっ……。
今年も、もうあと7カ月な「5月」、なんかサイクリングに行きたい「5月」ってことで3月の
誕生日プレゼントを2カ月遅れの「5月」に家内から自転車をプレゼントしてもらった話。
毎年3月になると「何がいい?」と聞かれ、ウーーーーーーンと考えているうちに月日が経ってしまう。去年は4月に「大人キックボード」を頂いた。どこが大人かというと、まず車輪の直径が20cmはある&ブレーキ付き&全体に大きい。俺は未だ腰部脊柱管狭窄中なので、なんとか歩きを最小限に抑えて移動したいがためのチョイスだった。が、元来「キックボード」はちと音が五月蝿い(うるさい)、その上子供の目が痛い。ジジイのくせに俺たちと同じ遊びをしているあいつは一体何者?的な目で見られる。それが少しイタ恥ずかしい。近所のおばさま達の目はもっともっと痛い、ふうん?ジジイがキックボード・・・・?転んじゃったら面白いのに・・・・
ふふ・・・・ウキウキ的な目で見られる。かといって車に積んで駒沢公園でやるのはもっと恥ずかしい。犬がいっぱいいるのも嫌だし。ので、現在キックボードは玄関に飾ってある(写真)。これが意外とカッコイイ!あら、この家子供いたっけ的な目で犬を連れたおばさま達が、犬をほっぼらかしにしておしゃべりをしているのが目に浮かぶ。で、キックボードは玄関のオブジェと化した。
そこで今年は、ウーーーーーーン、いろいろ考えた。GWも過ぎてこれだけ毎日気持ちの良い日が続くと、俺のような「晴好雨嫌」的人間はお外に出たくて仕方がない。しかし散歩に出れば、5分ほどで足が痺れ歩けなくなる、以前の自転車はスポーツタイプで常に前傾姿勢を強いられて腰が痛い、しかしながら足の筋肉が落ちてきて鍛えなければならぬ。そこで「電動アシスト折りたたみ自転車ママチャリ風」を探した。
電動で、アシスト付きで、折り畳める。そんなものがあるんだろうか?と思ってネットで
調べた。そこに載っている多くの「電動ア(シスト)チャリ」は、前後に子供を乗せ、スーパーの袋をハンドルに下げ、なおかつ子供にも袋を持たせスイスイ走っている、ご存知、朝タ出没おばさま仕様だった。先日もある公園の駐輪場で10台くらい並んでいるソレを見た。
まるで「ヘルズ・エンジェルス」のようでちと怖かった。しかしながらあのおばさま達のスピードは凄い、兎に角速い、速い。あのおばさま達を主役にして『スーパーワイルド「オオゼキ」スピード3』を舞台化したい。どっかの360度舞台で客席は回らなくていいから、おばさま達が舞台をぐるぐる回る。前に子供、後ろに爺さん婆さんを乗せて人生を走る。絶対止まってはいけない、1周200メートルとして5周で1km、だいたい30kmはバッテリーが持つので
150周はできる。お客様は15分休憩するがおばさま達は休まない。そして歌う。
「乗せて人生」
誰のための電動アチャリ
昨日のことは振り返らない
肩に重たい明日を乗せ
今日もスイスイ電動アチャリ
後ろのじいちゃんが肩揉めば
前から子供が笑顔を返す
乗せて 乗せて 乗せて人生
あーあーチャリチャリ 電動アチャリ
素晴らしい!お客様はスタンディングオベーション!よく見ると客席が全て自転車のサドルになっていて、お客様は全てジムにあるような自転車漕ぎをしていた。そう、ここの劇場の照明は全てお客様の自転車漕ぎで賄われていた。もちろん高齢者は電動アシスト付きで、なーんて劇場があると面白い。
さて、適当な「電動アチャリ」を見つけ、我が家にソレが来てから早10日。
名付けて「ひらめ号」。名前に関してはまた今度説明するとして、まず家から有名どころの公園を毎朝走破した。馬事公苑、駒沢公園、砧公園、芦花公園、梅ケ丘公園、公園を公演に直すとちょっとした乗り打ち(演劇用語、旅公演で毎日移動して公演すること)公演だ。
電動アシストと言っても漕がなければ動いてはくれない。情けないことに、おばさま達に
ふん顔で毎日抜かれている。意外と進まない、でも足の筋肉は日々硬化状況にある。いつの日かおばさま達の後ろについて、そう、スリップストリームに入り隙を見て絶対抜いてやる。
ところで、おばさまはおばさまでも、素敵すぎるおばさま達が出演している連続テレヒドラマ「やすらぎの郷」脚本倉本聰、全130話。現在テレビ朝日系列で絶賛放映中。そこに久しぶりに俺は役者として登場するという何とも素敵過ぎるお話の顛末。
去年の春から夏頃、倉本聰さんがこのドラマの脚本準備、執筆中。八千草薫、浅丘ルリ子
両女優が出演すると聞いて、倉本さんに会うたびに、「どんな役でもいいので、このドラマに出たい」「後ろを通るだけでいいから、出演させて」と懇願していた。するとある夜倉本さんから電話。「中村さんの病名シリーズ、面白いから役作ったよ、ちゃんとやってよ!」的な。僕の自作曲の病名シリーズ「痛風に吹かれながら」「振り向けば腰痛」「トーニョーだよおっかさん」。
この3曲が倉本さんのアンテナに引っかかり、役を作ってくれた。「中井竜介」、これが俺の役名、元コミックバンドの生き残りという役どころ。何と、「振り向けば腰痛」「トーニョーだよおっかさん」両曲も劇中で披露する事に。もう一つ、このドラマの舞台は老人ホーム、そこで朝のラジオ体操代わりの「やすらぎ体操」も俺の作詞作曲&振り付け。「恋ダンス」を狙って作った。ちなみに俺の出演は6月29日(第64話)から、乞うご期待!
6月29日まであと1カ月以上ある「5月」。
しつこいっ!
RYOJI

玄関のオブジェ
